爽やか王子は悪魔のような人でした



一気に現実に引き戻される。



え、七瀬君、今なんて?

同じことを思ったのか佐原さんが聞き返してる。



「だから俺、佐原さんが好き。」




「……っ!」




嫌だ、嫌だ、嫌だ。

佐原さんと付き合っちゃうの?
私は?もう自然消滅しちゃってたの?


もう遅いの?
私にはもうチャンスがないの?ーーーー



……なにを思ってるんだ、私は。

チャンスならたくさんあったじゃないか。いつだって謝れた。


なのに今さらチャンスがほしい?
バカじゃん、でも…辛いのは事実。



「…ふぇ…っ……」



やだね、本当。涙が止まらないよ。
七瀬君が佐原さんのこと好きなのは

佐原さんが頑張ったから。諦めなかったから。勇気を出したから。
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