爽やか王子は悪魔のような人でした
「いいね、その顔。そそられるよ。
本当、結菜は俺の心をくすぐるのが上手いよね。」
クスクス笑いながら言う七瀬君。
「ちょっ、や、来ないで…っ!」
私の顔を覗き込もうとする七瀬君に一歩後ずさりすると七瀬君は一歩近づいてくる。
「それは無理なお願いだな。」
「や…っ…」
一歩後ずさり、一歩近づく。
前にもこんなことがあった気がする。
前は確かこの後ーー
「あ…」
背中が壁についてしまった。
「逃げなくたってよかったのに。
本当、小動物見たい。結菜って。」
トン、と私の顔の横の壁に手を置く七瀬君。
あ…そうだ、壁ドンだ。これは。