爽やか王子は悪魔のような人でした



「静香って呼んでいい?
私のことも結菜でいいから。」



「あっ、はい、全然OKですっ!

それより、制服……」



心配そうにしてくれる静香。

ダメだ、心配かけたら。

きっとこの子は心優しい良い子だからすぐ自分を責めるだろう。



「制服のことは気にしないでっ!
これは私が勝手にやったんだから。

私はもうすぐ親が迎えに来るからいいよ、先帰って?」



ごめんなさい、嘘です。
お母さん、お父さんお互い仕事です。


「じゃあ、私結菜ちゃんの親がくるまで一緒にいようか?」



「あ、静香、私のこと呼び捨てでいいから。

大丈夫だよ。すぐ来るから。静香は先帰って?ね?」



ポンと背中を押すと静香は心配しながらも



「うん、じゃ、バイバイ。
本当にありがとうっ!」



と最後には笑顔を見せて帰ってくれた。
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