爽やか王子は悪魔のような人でした



***



「俊くん、今日はありがとう。
本当にごめんね、七瀬君が……」



俊くんはメリーゴーランドにもジェットコースターにも私の乗りたいやつに付き合ってくれた。




「ううん、俺も楽しかったし。」



「じゃあね、バイバイッ!」



そう言って帰ろうとすると手をグイと引っ張られた。



「ちょっと、このまま帰すとでも思ってるの?」



急に口調が変わった俊くん。



「へ?まだなにか乗りたいの?」



「そうじゃないよ。せっかく楽しませてあげたんだからお礼がほしいな。」



ニコリと笑って言う俊くん。



「…お礼?なにがいい?」



私がそう言うと俊くんは私を壁に押し付けた。



「結菜ちゃん、かな。」



「………は?あの…」



「結菜ちゃんは静かにしとくだけでいいよ。」



ニコニコ笑いながら言う俊くんに恐怖を覚える。
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