現代のシンデレラになる方法
Chapter 1
事務科の地味子ちゃん
医者とは一種のブランドだ。
医者というだけで、勝手に人に敬われ、馬鹿な女が群がる。
俺の父親も医者だった。
父親の教育方針は、金はいくらでも払うからとりあえず医大に行けというもの。
そんなものだから、放任主義の両親から勉強しろと言われたことがない。
俺は高校は進学校にいながらも、そこまで頑張って勉強した記憶がなかった。
特に将来やりたいこともなく、親父の言う通り医大に入った。
私立なだけあって、普通に一軒家を建てられる程クソ高い学費だった。
そこではサークルに入り医学生目当ての頭の軽い女の子達と付き合った。
都内の大学病院で研修期間を積んだのち、今は800床弱の中規模病院で働いている。
激務な大学病院なんかよりよっぽど給料が良く、仕事もそこまで忙しくない。
専門科目は外科。
手術して数日後には、はいサヨナラ。
その簡潔さが俺の性に合っていた。
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