現代のシンデレラになる方法



もうこうなったら仕方がない。

「ひなた、もう弁当作るの禁止」

「えぇっ!?ど、どうしてですか?」


前に俺の弁当を作ることは生きがいだと豪語していたひなた。

突然の俺の申し出に、得意の眉毛を八の字にさせ悲しそうな顔をする。

しかし、そんな顔したってだめだ。

だって、

「俺の弁当のせいで、ひなたがまともに食事とれてないんじゃ、作ってもらっても嬉しくない」

「そ、そんな。私、本当にそうめんで十分なのに……っ」

「俺の弁当の完璧な栄養バランスを、なんで自分の食事には生かせないんだ」

「いや、でも……っ」

「……お前、いつまでも、そんなこと言ってると家に帰さないよ?」


ちょっとそうやって脅すとやっと静かになった。


しかし、今本気で俺の家で暮らさせようと考えてる。

自分なんてと自分のことをおざなりにしているうちは、不安で家へ帰せない。

俺と一緒に暮らせば、もうちょっと豊かで人らしい生活を送らせてやれる。


しかし、気を遣い過ぎるひなたにとっては、人の世話になるのなんて嫌がるだろうな。

今日だってやっとのことで言えたんだから。




俺の住むタワーマンションに着くと、車庫のある地下の駐車場へ入っていく。

そこからエレベーターを使って部屋のある8Fへ。

一応高級マンションの部類に入るんだろうが、1LDKで駅歩が結構あるため家賃は結構抑えられている。

しかし、着いてから目をぱちくりさせているひなた。


「ほ、本当にこんなところに住んでるんですか?」

「いや、でも1LDKだし、多分ひなたが想像しているより家賃低いよ。上に行けば部屋数も多くなって、それこそ家賃クソ高いんだろうけど」



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