現代のシンデレラになる方法
そして、具なしかと思ったら中にはうどんが入っていた。
「茶わん蒸しにうどん?」
「は、はい。小田巻き蒸しっていうんですけど……。お、お口に合いますでしょうか?」
「あぁ、うまいよ。さすがだな。で、自分の分は?」
「え?」
「え?じゃないだろ、お前はいいのか?」
「あ、せ、先生のことばかり考えてたら自分の分忘れてました……っ。でも私はお腹すいていないので……」
なんだそれ。
まさかいつもそんな調子で弁当作ってるのか。
「はい、口開けて」
「え、え、私はいいです……っ」
「ちゃんと上手くできたのか知りたくないのか?」
そう言うと、渋々控え目に口を開けた。
その中にスプーンで茶わん蒸しを運んでやる。
口に入れた瞬間、眉間に皺を寄せて悶え始めた。
「ど、どうしたっ」
「あ、あふくて……っ」
あつくて、そう言いたかったらしい。
何事かと思ったら、猫舌らしく、未だふーふー言っている。
目にはうっすら涙さえ浮かべて。
謝らなきゃいけない場面なんだろうが、なんだか可愛くて思わず頬が緩んでしまう。
「ごめんな、冷ましてやれば良かったな。大丈夫か?」
「す、すいません……っ、大丈夫です」
そうこうしてると風呂が溜まった音が鳴った。
「ひなた先に風呂入ってこいよ」
「お先にいいんですか……?」
「あぁ、風呂場は廊下に出てすぐ右な。タオル好きに使っていいいから」
「じゃ、す、すいませんお先にお風呂頂きます」
そう言って俺の貸したシャツと短パンを抱えて風呂場へ向かって行った。