現代のシンデレラになる方法
30分後、髪の毛を濡らし肩にタオルをかけ風呂場から上がってきたひなた。
あぁ、やっぱり俺のサイズだからぶかぶかだ。
シャツは尻の下位まですっぽり覆われている。
半袖のはずが七分袖位になってるし。
普段でも、こじんまりしているひなたが更に小さく見えた。
その姿に素直に愛らしいと思った。
だけど、なんだか様子がおかしい。
そわそわしているのはいつものことだが、短パンを両手で持っているようだ。
「せ、せんせ……、あ、あの」
「どうした?」
「た、短パンが……、お、おっこっちゃって」
得意の困り顔で言いにくそうに言うひなた。
思わずドキっとする。
「あ、あぁ、俺、基本腰の紐取るからな。ちょっと待ってろ」
クローゼットから何か変わりになるものを探すも、適当なものは見つからない。
そう言ってクローゼットの中を漁りに行く。
「お、お手数かけて、すいません」
しかし、適当な変わりになるようなものは見つからない。
部屋着で締め付けられるのは嫌いなため、いつも、部屋着はワンサイズ大きめのものを買っているのだ。
しかも全部紐がなくウエストの調整ができなくなっている。
これじゃ、ひなたの体に合わなくて当然か。
でも下を履かなかったら、シャツ一枚になってしまう。
シャツは尻の下位まで丈はあったと思うけど、それでもひなたにしたら絶対に嫌だろう。
「ひなた、下履きたいよな?」
リビングにいるひなたに声をかけると予想外の返事が返ってきた。
「あ、あの……っ、な、なくても、だ、大丈夫です」
また気い遣って言ってるんだろうけど。
「悪いな、ひなたのサイズに合うのなくてさ」
「い、いえ、こちらこそすいません」
俺も風呂に入り、リビングに戻ると2人で深夜番組を見る。
野球が好きな俺はいつも日課のように、夜のスポーツ番組を見ていた。
しかし、その隣でこっくりこっくり今にも寝そうなひなた。
俺に付き合って起きてなくていいのに。
「ひなた眠いなら、隣の部屋のベッドで寝ていいから」
「い、いや、ここで大丈夫ですっ」
「いや俺がソファー使うからいいよ」
「だめです、先生がベッド使ってください。私はどこでも寝れますので……っ」
「いやいや、だめだろ」
なんていう押し問答が数分続き、結局お互い譲らないことから2人でベッドで寝ることに。