現代のシンデレラになる方法
すると、タイミング悪くひなたの携帯に着信が。
「今?えっと、あの、お、お付き合いさせてもらってる人と一緒に……」
ごにょごにょと後半にかけて小さくなる声。
それ絶対電話の相手に聞こえてないだろ。
しかも、なんて回りくどい言い方するんだ、普通に彼氏と言えばいいところを。
「だ、だから、彼と一緒にいるの……っ」
ははは、電話にこしょこしょ話って。
あーあー、顔赤くしちゃって。
いちいち本当可愛らしいな。
「分かった……、今行くからちょっと待ってて」
「誰から?」
「すいません、妹からで……。今、私の家に来てるみたいなんです。それで、大変申し訳ないんですが、お料理また今度にして頂いてもよろしいでしょうか?食材は私が買い取りますので……っ」
「いいよ、食材は俺の冷蔵庫入れといて。また近いうちに作りに来てよ」
「ほ、本当すいません、ありがとうございます」
深々と頭を下げ謝るひなた。
申し訳なさそうにするひなたを車へ乗らせ家まで送る。
ひなたのご飯を食べれなかったのは残念だが、急用のようだから仕方がない。
これで、また近いうちに俺の家へ来なきゃいけないっていう口実もできた訳だし。
そして、ひなたの家へ。
ひなたのおんぼろアパートの前には、到底ひなたの妹とは思えない、ちょっと派手な女の子がいた。
……まさか、この子じゃないよな。
「あ、先生、あの子です」
……マジで?
彼女の近くに停め、ひなたを降ろす。
「遅いよ、お姉ちゃん」
「もー来るなら来るでどうして連絡くれないのっ」
「緊急事態だったのーっ」
若い女の子特有の間延びする声。
風貌も、ちょっとギャルっぽい。
おそらく付けまつ毛というやつに、茶色く不自然にでかい瞳。
金に近い色の髪はくるくる巻いてある。
ラフなロゴ入りのノースリーブの裾をふわっとしたミニスカートに入れた格好。
渋谷だとか新宿によくいそうな女の子だ。
そして車の中の俺の姿を見るなり、
「う、嘘でしょ、本当に彼氏なの……っ!?お姉ちゃん騙されてるよっ、なけなしのお金とられちゃうよっ!?」
そうひなたに耳打ちするも、しっかり俺の耳に届いていた。