現代のシンデレラになる方法
……助かった。
ほっと胸を撫で下ろす。
「本当、先生すいませんっ、ほらみーちゃんも頭下げて!」
俺の前へ2人並んで正座すると頭を下げた。
まぁ、妹の方は頭をひなたに摑まれて無理矢理下げられていたといった方が正しいが。
「いやいや、そんな土下座しなくても」
しかし、なんて強烈な妹なんだ。
今度から気をつけねば。
「もう、なんであんなことしたの!」
「だってお姉ちゃん騙されてるんじゃないかと思ってさ、お金取られたり傷つけられたりしたら嫌だからちょっと試したの」
ちょっと、試した?
いやいやあれは本気でやるつもりだっただろう。
「でもね、大丈夫だった。硬派そう」
そう言ってにこっと俺の方を見て笑う。
それは、良かった。どうやら妹的には、姉の彼氏として認められたようだ。
「まぁ、手出してくれても良かったんだけどねー。少しは遊びたかったし。その後は容赦なくお姉ちゃんと引き離すけど」
その言葉に俺とひなたは思わず唖然としてしまう。
本当にこのアバズレは、ひなたの妹なのだろうか……。
その後ひなたの作ったミートローフを食べ、唐突に帰ると言い出した気まぐれな妹を駅まで送っていってやった。
そもそも、結局、妹の急用ってなんだったんだ。
もしかして姉が彼氏といるって聞いて、ただその彼氏の俺に会いたかっただけなんじゃないか。
その妹を送った帰りに、ひなたへ聞く。
「今日どうする?もう帰るか?」
「あ、あの」
「それか、泊まってくか?」
「は、はい……っ」
最初の頃は遠慮がちだったが、俺の部屋に来るようになってからたまに泊まってくれるようになった。
とはいっても、何もできないから、毎晩1人理性との戦いが悶々と繰り広げられるのだが。
「そんな身構えなくても大丈夫だよ、何もしないから」
「せ、先生、大丈夫です」
「え?」
「あ、あの先生がよかったら、し、しませんか……?」
……一体何があったんだ。
願ってもない申し出だけど、明らかに無理してるのが分かる。