現代のシンデレラになる方法



渋々帰った妹。


部屋へ戻ると、ひなたは下を俯いたままだった。

そんな罪悪感を感じながらどうしてこんなことしたんだ。

俺が何とも思わないとでも思ったのか。


「ひなた、お前の妹が今来てたけど帰ってもらったから。後で悪かったって言っといて」

「……っ」

「で、妹に聞いたけど。処女が厄介だの、俺に捨てられるだの言われて本気にした訳?」

こくんと頷くひなた。

思わず、ため息をつきたくなってしまう。


なんで……

俺のことが信じられなかったのかよ。

俺なりにゆっくり慣らしてやってるつもりだったのに。


「……ひなた、俺はお前のことを大事にしてきたつもりだったけど伝わってなかったみたいだな」

「ご、ごめんなさい……っ」


そう謝るばかりのひなたの手首を掴んで立たせると、寝室へ。

そのままベッドへ押し倒した。


明かりのついていない暗い寝室。

俺が何をしようといているか分かって、ひなたの瞳が大きく揺らぐ。


「……そいつとやったんだろ?だったら俺とも、もうできるよな?」

ぐっと涙をこらえてるらしい。

きゅっと唇を噛みしめ、涙目で俺の瞳を見つめる。


「何したの、どこにキスされた?」


……簡単に他の男に触られやがって。

そいつに触られたところ、全部塗りつぶしてやりたい。

ひなたの服の襟元を下へぐいっと引っ張り、首元から胸の上位まで、まっさらな白い肌をはだけさせる。


……何も跡は残ってない。

ひなたの体は震えていた。

だけど今は気遣える余裕もない。



「あ、あの、何も、何もしてないです……っ」

不意に震える声でそう訴えたひなた。

「え?」

思わず素っ頓狂な声を出してしまう。

「な、何もしてないです、本当です……っ」

そう言いながら俺の瞳を、眉を八の字にさせ、じっと見つめる。

「は?マジでっ?」

こくんと頷くひなた。

はー……っ、良かった。マジでどうしようかと思った。

その言葉に、深く息を吐いて心底ほっとする

ひなたの体からどいて、うなだれた。


「……あのなぁ、それを先に言ってくれよ。正直、すっげー焦ったんだけど」

ちゃんと確認せずに誤解した俺も悪いけどさ。

そこ一番重要じゃないか。


「でも、抱かれようとしたのは事実ですから……」

抱かれていれも抱かれなくてもひなたの罪の意識は変わらないんだろう。

でも良かった、その体はまだ誰にも触れられていない。

まだ俺のものだ。



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