現代のシンデレラになる方法
式当日。
私は電車に乗り横浜の式場へ向かっていた。
地元はそこから更に乗り換えて、30分程のところにある。
お二人は共通のご友人との食事の席で知り合ったそうで……
司会のお姉さんの、滞りのないなめらかなスピーチ。
思わず聞き慣れたフレーズに顔がひきつる。
……はっ、出た。
共通の御友人との食事会。
たいていそれって合コンなんだよね。
てかこの新郎新婦が出会った合コンに私もいたし。
しかし、私には人の出会いをとやかく言える筋合いはない。
私と昴なんて、出会いがしらにぶつかり初対面にも関わらず弁当を罵倒され、そしてやがて体の関係を持つようになり……、
ははは、出会い方も恋の始まりも最低最悪。
そんな私達がもし結婚式を挙げたらどうなるんだろうか?
ま、そんな事実は誰も知らないんだし。
同じ職場で出会い、仲を深めていった2人は……
こんな感じでオブラートに包めば。
……って、何妄想してんだろ、あたし。
だけど私はウエディングドレスなんて恥ずかしくて着れないな。
着たとしてもマーメイドドレスで精一杯。
なんて考えてると隣に座っていた、朋美に不意に声をかけられた。
「ね、あんた今彼氏いるの?」
「え、いる……かな?」
「何それ」
「いや私は告白したんだけど、はっきり答えをもらった訳じゃないっていうかさ……。体の関係だけあるみたいな?」
「あんた遊ばれてんじゃないの?相手いくつよ?」
「確か、25だったかな」
「……綾子、ご愁傷様。早く結婚考えられる相手探しなさいよ」
いや、遊ばれてるとは思わないんだけどなー。
だけど、トラウマがあったせいか体の経験はあっても、本気の恋愛に関しては初めてって感じで。
ま、私が人のこと言えたもんじゃないけどさ。
思い上がりじゃないよね。
自分で言ってて、ちょっと不安になる。
違うよね、昴。
あんたは本当は私のこと好きなのよね?
ただ、素直に言えないだけで。
なんか自分で言ってて、自分がおのぼりさんみたいに思えてきた。