現代のシンデレラになる方法



昴はそれからというものの、夜当直の仕事でいないことが多くなった。

今までもうちの病院の当直でいないことはあったが、ここまで頻回ではない。

多分、外部のもちょこちょこ行ってたから、そっちの回数増やしたのかな。


こっちは夜勤一回やるだけでへとへとだってのに、よくやるよ。

やっぱり若いって違う。



今夜は久しぶりに2人並んで寝る。

私も月に数回は夜勤が入っているため、すれ違いの生活になっていたのだ。


ベッドの中で、昴が少しためらいがちに聞いてくる。


「あのさ……」

「ん?」

「誕生日、そんなに憂鬱?」

「……うん」

「なんで?」

「そりゃ憂鬱だよー、また年とるんだよ?」


はぁ、とため息。

男の昴には分からないだろう。


「昔は、誕生日が待ち遠しくて仕方がなかったのに……」


私はゆっくり呟くように、昔のことを話した。


「……私ね朝6時位に生まれたんだんだって。

だから小さい頃は、いつもプレゼントは枕元に置いてあった。

ちょうど自分が産まれた時間位の朝起きた時に、1番幸せな気持ちになれるようにって。

夜はわくわくして眠れなかったなぁ。

次の日枕元にどんなプレゼントが置いてあるんだろうって」


昴はそれを黙って聞いているだけだった。


一番幸せな気持ちになれるように……

もうきっと誕生日に幸せな気持ちになんてなれないんだろう。


たとえ昴がプレゼントを送ってくれても、お祝いしてくれても心から喜べない。

別に、表面上だけでも取り繕えば良いのだろうけど。

こいつのことだからお金かけてくるだろうし、これじゃ申し訳なくて上っ面だけじゃ祝えない。



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