現代のシンデレラになる方法



「その子の名前、なんて読むの?」

「……かりん」

「へぇ、今時っぽい名前だね」

何言ってんだ。
そんなことが言いたいんじゃない。
そして昴も何普通に答えてんだ。


「その子、誰?」

「友達だよ」

……ダメだ言っちゃだめだ。
そう思うのに止まってくれない。

「友達なのに、私の前じゃ電話に出られないの?」

「……」

「もしかして、この前デートしてたのってその子?」



そう聞くと昴は押し黙ってしまった。


……何黙ってんの。

少し位言い訳してくれたっていいじゃない。

それとも面倒過ぎて、私なんかに弁明するつもりもない?


沈黙が続く。

……分かってんの?

その沈黙が肯定を意味してるってこと。


何でもいいから、嘘でも何でも信じるから。
あんた誤魔化すの得意じゃない。

なんで今それを発揮しないの。

それか慌てて、ごめんって謝ってよ。


もうなんでもいいから、そしたら私は昴を許してあげられるんだから。


ただ黙る昴に私は泣きそうになる。


ねぇ、私は別れたいなんて思ってない。

お願い、昴。

何か言ってよ。


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