現代のシンデレラになる方法




しょうがないのかな。

最初から無理があったのかもしれない。

お互い年の近い相手を探した方がいいのかも。


それから昴とはすれ違いの生活になった。

昴は、ほとんど家に帰って来なくなったのだ。


その花梨ちゃんとやらとでも会ってるのだろうか……?



それはいつもの昼下がり。

明日のOPE患の確認をしている同僚が焦っていた。

「今日のOPEもう終わってるはずなのに、なんで病棟に昴先生来ないんだろう。どうしよう明日のOPE前の点滴出てないのに……」

そのボヤキを聞いていた他のスタッフが立ち止まる。

「あ、今昴先生ダメだよ」

「え?何かあったの?」

「昴先生、オペ中に倒れちゃったらしくて。軽い貧血らしいけど、点滴打ってるって。指示確認するならお兄さんの方に連絡したら?」

それを聞いてざわつき始めたナースステーション。

でも一番この中で動揺しているのは、きっと私だろう。

事情を知るそのスタッフに、昴の居場所を尋ねて病棟から飛び出した。


どうしよう言ってなんて声かけるの……?

こんな、曖昧な関係のまま。





外来の空きベッド。

そこに点滴を打ちながら横たわる昴と、その横には未だOPE着のままの東條先生がいた。


私が来たことに、目を見開いて驚く昴。

私はそのベッドの傍らに立つと彼を見下ろした。

なんだか少しやつれたような気がする。


「ちゃんとご飯食べてるの……?」

「……食べてるよ」

「ちょっと痩せたんじゃないの?」


久しぶりに会ったら、なんであんたが振られたみたいな感じになってんのよ。



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