現代のシンデレラになる方法


しばらくして落ち着いたのか、相澤はようやく顔を上げた。
顔は真っ赤になっている。

相澤は鼻を啜りながら、バッグからハンカチを取り出すと目元を拭った。


「す、すいません……っ」

「いや、どうした?」

「う、嬉しくて……っ」

「そうか、じゃまた作ってくれるんだな」

「喜んで」

そう言って微笑む彼女。

こんな風に、彼女の笑う姿はめったに見れたもんじゃない。

いつもこうやって笑えればいいのに。


仕事中は、いつも何かに追われているかのように必死だし。
俺しかいない車内でも落ち着かないのか、そわそわ緊張しているし。

彼女は一体家ではどんな生活を送っているのだろうか。
友達の前だったら、こんな風に笑ったりするのだろうか。



彼女を勝手に不幸だと思うのは、彼女に対してすごく失礼なことだ。

だけど彼女と知り合って、上司や社会に虐げられているところばかり見てきた。

その度に幾度となく、あぁ可哀想だなと思ってしまう。

しかし、彼女の性格を変えることでその不幸な世界から抜け出せるのならば力になりたい。


そして彼女を取り巻く世界が、どうか優しい世界になってくれたらいいのに。


笑う彼女を見てそう思った。
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