現代のシンデレラになる方法



背を伸ばして胸を張れと、言われたがなかなか難しい。

さっ、さっと足早に次の目的地へ無心で歩く。

ちくちくすれ違う人の視線を感じる。

あぁ、やっぱり私なんかがこんな可愛い格好似合う訳がない。

これじゃ着られたドレスが可哀想だ。



次のお店は美容室だった。

入るなり、「お待ちしておりました」と声をかけられる。

早速席に座らされ、何も手入れせずほったらかしのボサボサの髪の毛に女の美容師さんが触れる。

「何か、こうしたいとか希望ありますか?」

「いえ……っ」

「じゃ、とりあえずカットとカラーしましょうか」

「あ、えっと、あまり明るい色は……っ」

「大丈夫ですよ、少し明るくして雰囲気軽くするだけですから」

そして髪の毛にカラー剤が塗られていく。
こうやって髪の毛に何かするのは初めてだ。

ちょっとドキドキする。

しばらくして髪の毛をシャンプーで荒い流した。
ドライヤーで丁寧にブローされると、自分の髪の毛じゃない位綺麗に見えた。

驚く私に、美容師さんがカラーしたことによってツヤが出たということと。
あと、全く今までいじってこなかった傷みのない髪だから、しっかりブローするだけでも綺麗になる、と教えてくれた。

だけど乾かし方でこんなに違うものなのか、と思わず触ってしまう。


「じゃ、ここから切っていきますからねー。おまかせでいいですか?」

「は、はい、よろしくお願いします」

毛先を肩上で揃えていく。
あのギザギザな不揃いな前髪も綺麗に整えてもらった。


「じゃセットしていきますからね」

「は、はい」

「うーん、どうしようかな。アップにせず、このまま毛先だけ内巻きにした方が方が可愛いかも」

髪の毛を上げたり下ろしたりして考える美容師さん。


「これだったら、毎日のセットで教えてあげられそうですし」

私はなすがまま、美容師さんに体を預ける。

「アイロン持ってます?」

「い、いえ」

洋服にかけるアイロンなら持ってるけど。
今美容師さんが指してるアイロンってのは、きっと別のことだろう。

「今回はアイロン使いますけど、あとでヘアブラシとドライヤーでもできるやり方教えますね」

「あ、ありがとうごさいます」

そう言って手際よく毛先を内側に巻いていく。

すると顎上位でくるんと内巻きになった。
すごいこれだけで大分雰囲気変わるもんだな。

前髪もコテを使いながら軽く毛先を巻いて、横に流していく。
おぉこの前髪、いつも朝のニュース番組で見る女子アナさん達と同じだ。

こうやって作るんだ。




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