現代のシンデレラになる方法


手を引かれるまま着いた先は、映画の世界でしか見たことないような豪華な高級ホテル。

巨大なシャンデリアに出迎えられ、先生は慣れた様子でエレベーターへ乗り込んでいく。

そして着いたフロアのレストランへ入った。

そこは都内の夜景が一望できるような素敵なところで。

入ると黒いスーツをびしっと着た男の人に席へ案内され、椅子を引いてもらい席に着いた。

テーブルの上に並んだあらゆる食器に不安になる。


「す、すいません、私、テーブルマナーとか分からないんですけど……っ」

小声で泣きごとを言う私に、くすっと笑う先生。

「大丈夫だ、そんなの適当でいい。とりあえず端から使っていけばいいから、俺の真似してろ」


ワイングラスの中に淡くピンクがかった炭酸の飲み物が運ばれてくる。
この綺麗な飲み物はスパークリングワインというらしい。


「てか、今更だけど、酒飲める年齢だよな?」

「え、はい、今年で23になります」

「良かった。未成年連れてきたかと思ったよ」

「み、未成年にみえますか?」

「まぁ、下手したらな」


それに軽くショックを受けながら、グラスに口をつける。


「あ、おいしい」

「ウェルカムドリンクだからそれ程度数高くないし、飲みやすいだろ」

「はいっ」

アルコールが入ったからか、少し頬が火照る。
それに、ちょっと緊張もほぐれたような気もする。

スパークリングワインを早々に飲み干して、先生は赤ワインを頼んでいた。
私はよくお酒の種類が分からず、メニュー表を見て悩んでいると。


「サングリアあります?」

「赤と白がございますが」

「とりあえず赤で」

見かねた先生がオーダーしてくれた。


「ワインよか飲みやすいから飲んでみろ」

「あ、ありがとうございます……っ」


そして持ってきたサングリアという飲み物。
見た目は赤ワインと変わらない。
少し飲んでみると、先生の言っていた通りフルーツジュースのようで飲みやすい。


「おいしいです……っ」

「良かった」

微笑む先生にドキっとして、思わずぐいっと飲んでしまう。
いけない、いけない、気をつけなきゃ。
いくら飲みやすくてもアルコールが入ってるんだから。






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