現代のシンデレラになる方法
その日兄貴の様子がおかしかったことに、ベッドの上で西原から問い詰められた。
「先生に何かしたでしょ?」
「別に何も、ただ相澤がいじめられてたって話を暴露しただけだよ」
「……必死だね、あの2人を引き離すのに」
「はぁ?お前だって都合いいだろうが」
そう言うと、西原は泣きそうな顔をした。
「……ねぇ、もうやめなよ」
そう言って腕を掴まれる。
「前に嫌いだって言ってたけど、あんた唯一お兄さんの前だと自然に笑うよね?あんな風に笑うあんたが本当に嫌いだなんて思えない。なのに、不幸にさせたいなんて。ねぇ、一体何があったの?」
「……黙れよ。俺の何を知ってんだ」
全て俺の気持ちを見透かしたかのように言う彼女に、目を背ける。
兄貴の苦悩する顔が見たかった、なのに、どうしてこんなに気持ちが晴れないんだろう。
複雑な心情が自分でも分からない。
そして。
こいつは、なんで俺とこんな関係を続けているのだろうか。
兄貴へどう迫ればいいか知りたいと言われたのに、それらしいことは何も教えていない。
だた会えば、やるだけだ。
それもあれだけ自分本位に抱いても、彼女は俺を受け入れ続けてくれた。
一体何が狙いなのか分からない。
結婚適齢期の貴重な2年間を兄貴にとられ、俺で発散したいのか。
ただ、終わった後、彼女はいつも俺に優しかった。
いつも俺が寝ている間のできごとだったのだが。
最近気付いてしまった。
そう、いつも俺が寝たと思ってから、彼女はそっと俺の顔を胸に埋めて頭を撫でてくれるのだ。
……それがすごく心地よかった。
まるでこれじゃ俺が慰められているようだ。