現代のシンデレラになる方法
それから私達は、一緒に夜を共にすることはなくなった。
そんな体の関係を絶ったのはどちらでもなく自然な流れだった。
もうお互い、慰め合う必要なんてなくなったから。
昴はあの日の翌日、先生に対し最初こそ気まずそうにしていたがいつの間にかいつもの2人に戻っていた。
特に、先生の方は何事もなかったかのように接していた。
2人の間でもう解決しているのだろうか?
それとも大人なお兄さんの方が、仕事と割り切って取り繕っているのか。
しかし、弟の方はどうしたもんだか。
彼の中ではまだ解決していないのだ。
彼女への何かしらの未練が残っているから。
まだその想いが彼を苦しめている。
「もうこうなったらさ、また玉砕するしかないんじゃないの?」
「玉砕ってか俺も別に今更やり直したいだとか思ってる訳じゃないし。ただ……俺もあの頃ガキだったからあいつの影響が大きすぎて」
「だから今また改めて会ってみたらいいじゃない。よく行くお店とか知らないの?」
「会社近くの明け方近くまでやってるバーに週末はよく通ってたけど。今でも行ってるかどうかは」
「よし、行ってみよう」
「はぁ?」
「心細いなら一緒に行ってあげるからさ」
「別に1人でいいっての」
そしてやってきた週末、昴はどうやら今日行くつもりらしい。
なんだか今日は難しい顔して考え込んでいることが多かったから。
だけど心配だ、本当に大丈夫だろうか。
昴に提言した私にも責任がある。
昴からあらかじめ店の名前を聞き出しておく。
そう、こっそり行ってやろうと思っていたのだ。
普段あまり使われていない1Fのトイレへ忍び込み、念入りに化粧し髪をセットしていく。
しかし仕事中は髪をアップにしているため、髪の毛をおろすとゴムの縛った跡が残っている。
そのまま髪はアレンジして、ふんわりお団子をつくる。
顔の両サイドに少し長い髪の毛を垂らしてできあがり。