現代のシンデレラになる方法
昴と駅へ向かう途中でも、さっきのむかつく女を思い出してイライラしてくる。
「ちょっと、あんた、本当にあんな性格の悪い整形女が好きだった訳?」
「そうみたいだな。あんな奴のせいで兄貴を憎むようになったなんて、本当笑える」
「大丈夫、まだやり直せるでしょ。私のおかげで未遂で終わったんだし」
「あぁ助かったよ。今日も俺の変わりに色々言ってくれて、本当すっきりした。やっと悪夢から目覚めた気分だ、ありがとう」
「そ、それは良かった」
……怖い位、素直だなー。思わず狼狽えてしまう。
あの蔑んだ目で毒舌をぶちまけていた、かつての昴とは、まるで別人のようだ。
「……兄貴許してくれっかな」
珍しく自信のなさそうな昴。
「大丈夫よ、東條先生だって分かってくれてる。じゃなきゃ病院で、あんな風に今まで通りに接してくれないよ」
「そうだな、兄貴はやっぱ器が人とは違うわ。あんたが2年も片思いする訳だよ」
あれ?
なんだか、そう言われるとしっくりこない。
今は東條先生より……。
「ここまで世話になったんだから、兄貴とのこと何でも応援してやるよ」
「別にもういいよ」
「よくないだろ、兄貴との仲を取り持って欲しくてここまでやってくれたんだろ?」
いきなり見当違いなことを言い出す昴に、ショックを受ける。
まさか私がここまで頑張ってきたのは、全部、私が東條先生と付き合うため、とでも思ってるの?
「……嘘でしょ?本気でそう思ってる訳?」
冗談じゃない、私の目にはちゃんとあんたが映ってなかったの?
「違うのか?」
「もういい」
「なんで、そんなに怒ってんだよ。訳、分かんねぇ」
私は昴を置いてスタスタ歩き出す。
でもこれもしょうがないのかも。
だって昴はいつも東條先生が絡むと、いつも自分を卑下して劣っていると思っているから。
幼い頃から味わってきた劣等感がそうさせるんだろうけど。
昴の中で東條先生が絶対であるからこそ。
私の東條先生への想いもゆるがないものだとでも、思ってるんだろう。
あんたは一体今まで何を見てきたのよっ。
と怒鳴ってやりたいところだったが、少しずつ分かってもらうしかないか。