現代のシンデレラになる方法
償いのピンキーリング
翌日、病院に行くと早速朝から事務長と師長がバトっていた。
あーあ、またヒステリー起こしてるよ事務長。
皆思ってることは一緒。
スタッフ一同冷たい視線を向ける。
「そんなにうちだけ患者押し付けられたら、仕事回りなくなります。こっちは医療ミス寸前のとこでやってるんですよ」
「しょうがないだろ、ここに入れた方が収入が増えるんだから!たかが看護師が病院の運営方針に口を出すな」
その一言にしんと静まり返る病棟。
でもそれはほんの一瞬だった。
すぐにいつもの喧騒に戻る。
事務長が現場の忙しさなんてかえりみず、看護師をないがしろにしてるのはいつものことだ。
今に始まったことじゃない。
「もう、やってらんないんだけどっ」
ついにうちの師長がブチ切れた。
あーあ、機嫌悪くしてくれちゃって、たくどうしてくれんの。
しかし、その様子に一番あわあわ慌てているのはなぜか事務長の後ろにくっついていた相澤さんだった。
「じ、事務長」
「なんだよ」
「た、たかが、という言い方はどうかと。看護師さんがいなくては病院は成り立たちませんし……、もう少し現場の意見を聞いてみては……」
恐る恐る進言する相澤さん。
しかし案の定事務長にまともに取り合ってもらえない。
「いちいち、口を出してくるな、ただの事務員のくせに!」
「す、すいません」
事務長が去り、残った相澤さんが今度は師長の元へ。
「す、すいません。これ今日の空きベッドです」
そう言ってイライラしている師長にその紙を差し出す。
あーあ、さすがにこれは同情するな……。本当可哀想な役回りだよこの子も。