現代のシンデレラになる方法


「分かってるよ、そのつもりだ」

「私も、今度は前みたいにいじめたりしないように皆に言っときますけど」

でも、それじゃ、西原さんの立場が……っ

「あ、あの、そ、それでは西原さんが仕事しづらくなるんじゃ……っ」

「大丈夫、私のことは心配しないで」


そう言って優しく笑う西原さん。


それからは、西原さんに、私達の最初の出会いやら何やらを根掘り葉掘り聞かれた。

いつにも増して多弁になった西原さんだが、打って変わって急に昴さんの口数が減った。


途中で昴さんが先生に何か言いかけたけど、西原さんがさり気なく先生に話を振り誤魔化していた。

まるで、昴さんが何か言おうとしているのを、西原さんが阻止しているようだった。


一体何を言おうとしていたんだろう。

そして西原さんにはそれが先生には聞かれたくないことらしい。

うーん、考え込んでも答えには辿り着かなそう。

隣にいる先生なんてそんなこと気付きもしてないし。


その後先生に4人分の食事代を払ってもらい、帰宅することに。

私は、先生の車へ。西原さんは昴さんの車へ。

それぞれ、駐車場で別れて家路につく。


すると、2人と別れて、ちょっと後ろの方に離れた後。

2人が言い争うような声がかすかに聞こえた。


ど、どうしよう、止めに行った方がいいんだろうか?

だけど、わざわざ、私達と別れた後に喧嘩を始めたってことは、内容を聞かれたくなかったからだろうし。

こ、これは聞かなかったことにしておいた方がいいんだよね?


先生は……、

ちらっと横に並んで歩く先生を見上げる。

……やっぱり、気付いてないみたい。





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