右周りの島
「何も起こんねぇな。」
「だね。おもしろくな~い。」
エミと大ちゃんが、つまらなそうに言いながら、細い砂利道を歩きます。
4人は、島の半分程を歩きました。
「おっ!看板発見♪『中間地点』だってさ。」
「もう真ん中まで来たんだ。何も起こんないね。」
「ねぇ、今からでも良いから引き返さない?やっぱり右周りにするべきだよ。」
チカが不安げに言いました。
「まだ言ってんの、チカ。大丈夫だって♪」
「そうそう。もう中間地点じゃねぇか。どうせ何もないって♪」
「でも……」
「ほら、置いてくぞ。」
「ま、待ってよ!」
「本当にチカは怖がりだね♪」
そんな風にからかって、みんなチカの話に耳を貸しませんでした。
あの時、チカの言葉をちゃんと聞いていたら、あの事件はきっと起きなかったでしょう。
チカだけが、『なんとなく』嫌な予感と不安を感じていたのです。