youth diaryーぼくらの物語ー
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真子side
土曜日、10時に花奏ちゃんの家に集合と九条くんからlineがあって、【場所わかんない】と言うと、駅で待ち合わせになった。
正直、不安。
花奏ちゃんと九条くんは幼馴染みで、この前私が九条くんのことが好きと花奏ちゃんに打ち明けた時、花奏ちゃんはぎこちない笑顔を作っていた。
もしかしたら花奏ちゃんも…なんて考えまで過ぎって…そしたら私は不利だな…ってあの時からずっと考えてた…。
「原田?」
駅の改札を抜けた時、名前を呼ばれた気がして声のした方に顔を向けると、駅の入口から少し離れた花壇に九条くんが腰掛けていた。
「おはよう、九条くん。ほかのみんなは?」
「まだ来てねぇよ。原田がいちばん」
おはよ、と九条くんはまだ少し眠そうなに目をこすりながら答えてくれた。
か、可愛いな…っ。
2人で花壇に腰掛けて有理ちゃんと宮田くんを待つ。
「……」
「……」
沈黙…。
この空気どうしたらいんだろ…なにか喋った方が良いかな…。
「あ、あの九条く「にーちゃん!」
なにか話題を…と話しかけようとした私の声は誰かにまんまと遮られた。
「おー…颯斗(はやと)さんきゅ」
走って来た1人の男の子は九条くんの前で足を止めると「はい、これ」と飲み物を渡していた。
「…あ、コレ俺の弟」
不思議そうに見ていた私に、九条くんが気づいて紹介してくれた男の子。
九条くんより1つ頭が低いくらいで、外見はほとんど似てる。とくに目とか…。
「は、初めまして…原田 真子です」
慌てて立ち上がって自己紹介する私に、九条くんの弟はパチパチと瞬きを数回したあと
「あ、九条 颯斗です…よろしく?」
と言って手を差し出してきた。
「よろしく…」と私も一応手を差し出して握手をする。
「こいつ、今日花奏の家に行くって言ったらついて来やがったんだ。邪魔にならないようにするから許してな?」
九条くんの言葉にコクコクと頷いて花壇に座りなおす。