【短編】 たたり
 

 もし彼女が親切にしてくれなかったら。

 そこらにいるおばけにふるえ上がって、何も出来なかっただろう。

 あまりにこわいので。

 学校にいる時だけでなく、放課後も。

 なるだけぼくは、吉田さんと一緒にいるようになった。

 だから、かもしれない。

 ぼくが話しかけても、だれも返事をしなくなったのは。

 うわばきや教科書もなくなった。

 吉田さんと急に仲良くなったぼくに、いやがらせをはじめたやつもいた。

 今まで友達だと信じていたクラスメイト達に裏切られて。

 ぼくは。


 ……お化けが見えるようになってしまったのと同じだけつらかった。


 
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