【短編】 たたり
 



 ……痛い。

 とんでもなく痛い。

「~~ってぇ」

 なんて言えたのは。

 目から星が飛び散ってしばらく経ってからだ。

 けれども。

 「大丈夫?」

 頭をかかえて座り込んでいるぼくに、手を貸そうと近寄ってきてくれた子がいた。

 さっき。

 電信柱があることを教えてくれた女の子だ。

「ありが……」

 その子にお礼を言おうとして、ぼくは黙る。

 彼女が、ぼくのクラスの吉田さんだっていうことに、初めて気がついたからだ。

< 3 / 26 >

この作品をシェア

pagetop