赤い電車のあなたへ
龍太郎おじいさん。
その息子の名前が龍二さん。
そして、あの人の名前が緑川 龍太さん。
龍ヶ縁の土いじりが大好きだった龍二さん。
そして、龍ヶ縁の地質調査に来たらしい龍太さん。
……偶然、なのかな?
もしかしたら、あの人は龍太郎おじいさんのお孫さん?偶然にしてはあまりにもあれこれが合いすぎる。
わたしの考え違いもあるかもしれないけど。調べる価値はあると思えた。
そんな奇妙な符号に心を騒がせたわたしは、夏休みの計画を自分の部屋で立てていた。
あんまりほたるとは遊べないな。彼女は夏樹といろんな場所に行くらしいから。
夏休みだからぺんぎん屋も忙しくなるし、アルバイトは毎日頑張らなきゃいけない。
夏樹はほたるに夢中みたいだし……
なんて考えただけで、どうしてかざわりと心が波立つ。
いや、ほたるも夏樹とうまく行ってていいじゃない!自分がひとりだからって、2人をひがまない。ひがまない。
わたしはぺんぎん屋のアルバイトと叔父さんの手伝い。それから、龍太さん探しと龍太郎おじいさんの訪問で忙しいから。
夏休みは学校の宿題もたっぷりあるし、それから一度は実家に帰らないとな。ひとりきりのお母さんが心配だ。
こうして計画表を眺めてみると、なかなか忙しい。遊んでるヒマなんか全然なさそう。