赤い電車のあなたへ
ことに、友達も家族も秀でたこともないわたしは、嘲笑の的になった。
面と向かってはっきり言わなくても、クスクスと笑い蔑みの視線を向けられた。
“ほら、あの子母子家庭だって。だから暗いし友達もいないんじゃない?”
“え~? 可哀想だね。 やっぱ貧乏なんだ”
“ならあんた友達になったげたら?”
“イヤだよ! 同じ目で見られるじゃん!”
そんな会話はあたりまえに漏れ聞こえて、あからさまにシカトされたりした事も一度や二度じゃない。
わたしは去年の夏に朝露に来る直前、2ヶ月近く不登校を繰り返してた。クラスの集団いじめが原因で。
担任の先生が迎えに来たら渋々学校に行くけど、数日したらまた嫌気がさして行かないの繰り返し。
原因は男子の些細なひとこと。
「清川って体型も顔も芋虫に似てるよな。脱皮してマトモな顔になれよ」
なんて言われて、あだ名が「芋虫芋子」になった。
自分の顔が大きくて、そばかすやニキビにだんご鼻で、太りやすい体質を悩んでたわたしにはショックで。
それ以来クラスの皆がわたしを芋虫芋子としか呼ばなくなった。