赤い電車のあなたへ



「鞠お姉ちゃん! ケンパで遊ぼうよ」


夏休みに入ってすぐにぺんぎん屋のアルバイトにいそしむ。


子どもたちとはすっかり顔見知りになり、遊ぶというより遊ばれてる気がしないでもないけど。


わたしは友達が少ない子ども時代を送ったから、最初はどんなふうに遊べばよくわからなかったけど。子どもたちがいろんな遊びを教えてくれた。


ゴムとびにケンパにケイドロ。わたしも夢中になって遊んでしまう事もしばしば。


子ども時代、もっと友達を作れば良かったなと今さら思う。


でも、今はそれを取り返してるのかもしれない。


ケンパはかかしみたいな不思議なものを○△□で組み合わせて書き、石を投げて片足でケンケンしながらすすむ。確かこんなルール。


「ケンケン、パッ!」


石を投げ入れた場所は踏んじゃダメだから、順番が後ほどキツくなる。線を踏んだり石を拾えなくてもアウト。


片足ですすむバランスが難しいよ~。わたし運動音痴だから。なんてちっちゃな子どもの前で弱音は吐けないから、頑張って片足で跳んで……早速アウトになった。


「鞠お姉ちゃん、次は頑張ってね!」


「……うん」


十歳下の里香ちゃんに励まされてしまいました。とほほ。



< 122 / 314 >

この作品をシェア

pagetop