赤い電車のあなたへ



……ちしつちょうさ?


明日、龍ヶ縁に東京から地質調査の人たちが来る!!


あの人……緑川龍太さんも地質調査に来たみたいだから、もしかしたらもしかするかも?


思いがけず手に入った情報に、わたしは興奮して上擦った声にならないよう気をつけた。
しゃがんで花を摘む美紀ちゃんに付き合い、さらにいろいろ訊きだそうとした。


「そっ……それで。地質調査に来る人は誰かわからないかな?」


「ううん、知らない」


紫露草を手にした美紀ちゃんは池を目にしたまま首を振った。そりゃそっか。まだ6歳の美紀ちゃんにはいろいろと難しいよね。


わたしはふう、と息を着いて、美紀ちゃんにお礼を言っておいた。


「ありがとうね。お陰で明日は頑張れそうだよ」


美紀ちゃんの頭を撫でて、明日探す場所は龍ヶ縁にしようと決めた。


本当に偶然だけども、夏草を摘みに来てたまたま美紀ちゃんが思い出してくれて良かった。


小さな子どもの話は脈略がなく突拍子もないから、知ってること全てを順序立てて話すことはめったにないし。

本当に、運が良かった。

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