赤い電車のあなたへ



地質調査って、何を調べるのかな? とわたしは想像しながらてくてく歩いた。


先に龍太郎おじいさんのとこに寄った方がいいかな? 今日はガイドするかもしれないし。


以前に通った龍太郎おじいさん家への道は、実は難関なルート。今はもっと早く行ける抜け道を教えてもらえたから、10分もあれば着ける。


ゆうべ作った約束のキャラメル。もしかしたらと思って、たくさん作ってきた。


よし! と龍太郎おじいさん家への道を選択し、てくてくと歩きだした。


そして、潅木の間に龍太郎おじいさんの家が見えて、しばらく進んだわたしの胸は。どっきん、と高鳴りを覚えた。


よく見たい、けどももしかしたら……と期待と不安がないまぜになる。


赤い格子柄のシャツに上から青いベストを着て、がっしりした体つきに日に焼けた肌。短く刈り込んだ黒髪。ナップサックまであの日と同じように背負って、登山靴までそっくり。


そんな後ろ姿の男性が、龍太郎おじいさんと何か話していたのだから。



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