赤い電車のあなたへ



そして、わたしは知っている全てを話した。今まで集めてきた龍太さんに関する情報を。


とはいえ、個人だからほんの少しの情報しかなかったけど。それでも何か手がかりにならないかと考えての事だった。


この際つまらないプライドなんか捨ててしまわなくては。


わたしは今まで集めた情報を書き込んだメモ帳も渡し、あれこれを龍治さんに説明する。


すると、難しい顔をした龍治さんがある一点に注目した。


それは途中で女性と一緒にいたらしい、という点で。


その女性は洗練された雰囲気で、かなりの美人だったという。


長い栗毛の女性が龍太さんにベタベタしていた、という目撃談も共通していて。それを見た龍治さんが、低い声でつぶやいた。


「……まさか……良子(りょうこ)か?」


良子……さん?


聞き慣れない名前なのに、どうしてかわたしの胸がざわつく。


「もしかしたら……あくまでも予測に過ぎないけど。龍太はこのE線沿いに住んでると思う。
そしてやたら寂れた場所か、逆に人が多い場所にいるんだろうな。木を隠すには森の中だし」


龍治さんは自分の考えを丁寧に説明してくれた。



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