赤い電車のあなたへ
「なあ、鞠ちゃん。一緒に捜さない?」
「え?」
龍治さんに一瞬何を言われたかわからず、思わず訊き返した。
「龍太捜しを手伝ってくれないかなあ? 親も親戚もダチも教授もみんな心配してるし。流石にまる1年大学を休んでんだ。俺は3年に進んだけど、あいつは2年のままなんだよな」
龍太をふつうの生活に戻す手伝いをしてくれ、なんて言われたら。協力するしかないよ。
だって、本当に彼が好きだから。幸せに暮らして欲しいと願うんだ。
こんなに心配して東京からはるばるやって来る親友もいるのに、どうして龍太さんはこちらで行方不明になったんだろう?と疑問に思う。
それはともかく。龍治さんを手伝うにしても、わたしには現実的な問題があった。
「あの……お手伝いはいいんですけど、わたしはアルバイトもしてて。だから、毎日は無理ですけど」
わたしの事情を説明すると、龍治さんはそっかと頭をかいた。
「いいよ、できる範囲で無理なくしてくれれば。俺だって無理強いするつもりは微塵もないし」
ひょうひょうとした彼の物言いに、ちょっとだけおかしくなった。