赤い電車のあなたへ



そんなこんなでわたしは龍治さんとともに、龍太さん探しをすることになった。


わたしが心配した電車代も、バイトを休んだ分も。今まで情報を集めたお礼として龍治さんが負担してくれるっていう。


でも、自分が好きでした事だから、とわたしは断ったけど。龍治さんがどうしてもと粘るから、仕方なく半額折半ってかたちになった。


まあ、人手が増えたぶん今までよりも手掛かりが集まりそうだし、と気を取り直して龍太さん探しを再開する。


龍治さんの支援もあり、次に捜したわたしは予算の都合上行けなかった先まで足を延ばす。


そして龍ヶ縁からさらに十駅離れた笹原駅で、わたし達は気になる情報を得た。


笹原はわたしとほたるが行く三日湖の途中にあり、ショッピング街が人気がある、割とオシャレなスポットなんだけど。そこの衣料品店の店員さんが、龍太さんをはっきり覚えていた。


「そうそう、確かこの人だわ。衣料品をたくさん買ったから覚えてる。男性用だけじゃなく、女性用の下着まで買ったからね。印象的だったわ」


話を聞いた龍治さんは、ビンゴだと呟いた。


もしかしたら、もっと手掛かりがこの街に? と考えたわたし達は、商店街を歩いてみた。

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