赤い電車のあなたへ






そしたら、お母さんはいきなり健太叔父さんに電話した。
“鞠がお世話になるからよろしく”って。


そして、お母さんはこう言った。


“ぐずぐずして後悔するより、泣いてもいいから行動あるべきよ。若いんだからドンと行きなさい”


そしてわたしの志望校を朝露高校一本に絞り、勉強に付き合ってくれた。


今まで親らしいことはしてくれなかったけど、初めてお母さんとそれらしい時間を過ごせた。


8月から受験の3月まで。わたしはお母さんと二人三脚で受験に向かい突き進んだ。


朝露高校はわたしの成績でも十分受かったけど、念には念を入れてとお母さん。やるなら徹底的にってポリシーだからと笑ってた。


母子家庭のわたしは、お母さんを置いて朝露に来るのは気が引けたけど。お母さんは気持ちよく送り出してくれた。


“もう15だし、あんたも好きに生きなさい。親離れしたと嫁に出すつもりでいるから”って。


でも。


“辛かったらいつでも帰って来ていいんだよ。あんたの家はここだから”


お母さんがそう言ってくれた事が嬉しくて。

わたしは何年かぶりにお母さんの前で泣いた。



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