赤い電車のあなたへ
ドキドキと胸が鳴るけど、たぶんそれはいけないことだ。
わたしは……。
夏樹を男の子として見ちゃいけないんだ。
夏樹はわたしの従兄だし、お兄ちゃんみたいなものだし、親友ほたるの彼氏なんだから。
だから、わたしは龍太さんに感じるような感情の動きを、夏樹に対して持っちゃ駄目なの。
夏樹にとって2番目以下にならなくちゃ。
わたしを夏樹を2番目以下にしなくちゃ。
わたしが好きなのは、緑川 龍太さん。
清川 夏樹じゃない。
龍太さんが、わたしの生まれて初めて恋したひと。明日は三日湖に逢いにゆくんだから。
わたしがずっとずっと龍太さんを捜してきたのは何のため?
心を乱さないで。
間違えないで。
わたしは切ない顔をした夏樹に向かい、感情の揺れを振り切ろうとしてこう話した。
「夏樹、ごめんなさい。わたしは夏樹の従妹なのに親しくしすぎた。
今まで夏樹がわたしを最優先にしてくれるのが大切にしてくれるのがあたりまえすぎて。その心地よさにずっと寄りかかってた。
でも、もう止めなくちゃいけないよね。
夏樹の恋人はほたるだもん。
一番大切な彼女がいるんだから、わたしが二番目になるのは仕方ないよ」