赤い電車のあなたへ
その夜、わたしは布団の中で涙を流した。
なぜだろう?勝手に涙が出て止まらなかった。
眠ろうとしてまぶたを閉じても、じんわりと熱い滴が後から後からとめどなく溢れてくる。
目が熱くて、どうしようもない。
どうして、わたしは泣いているんだろう?
わたしは自分自身が解らなくて。
自分の心が解らなくて。
ただ泣くな! と、自分に言い聞かせながら、とにかく眠ろうとした。眠ろうとすればするほど眠れないのは分かっていても。
明日にはきっと龍太さんに逢える。一年思い続けて、何ヶ月も探してきた彼に逢える。
わたしはその事を考えて、嬉しいことや楽しいことに意識を集中させた。
三日湖に行ったら湖で泳ぎたいし、魚釣りもしてみたいな。噂だと大きな鍾乳洞もあるみたいだから冒険したいし、美味しいごちそうもいっぱい食べちゃう。
そばに龍太さんがいれば最高だなあ。彼とお話が出来るだけでもいいけど。
その時には印象がよい服を着ておかなきゃ。水色のワンピースなんて着古して恥ずかしいし、何かなかったかなあ。