赤い電車のあなたへ
朝露駅から約5分間電車に揺られ、東雲駅で降りる。そこから緩急ありの道をさらに徒歩で10分昇れば高校へ到着。
丘陵地が拓かれた場所に、県立朝露高校がある。
朝露川沿いに建てられてるから、グラウンドも体育館も渓流を臨める。
裏山には本当に鹿が棲んでいるらしい標高523mの小鹿山があって、更に遠くには山脈に繋がる高い山々がそびえ立ってる。
そんな大自然に恵まれた環境の朝露高校の全校生徒は、100人あまり。一学年にひとクラスしかないし、ひとクラスも生徒数は30人くらい。
だから二階建ての校舎もこじんまりとしてて。のんびりした朝露の気風を受け継いだからか、みんな仲がよく和気あいあいとしてる。
諍いはたまにあるけど、陰湿ないじめや反目はない。お互いに助け合って支えあう。
ここでは、わたしにとって居心地のいい世界が広がってた。
都会のギスギスした見て見ぬ振り、事なかれ主義日和見主義な学校とはなんていう違いだろう。
先生達も真剣にわたし達に向き合ってぶつかってくれる。親身になってくれる。
だから、わたしでも本当の思いを初めて先生に吐き出せた。