赤い電車のあなたへ
「へえ、従兄か。俺と龍太も鞠ちゃんと夏樹くんみたいなものだな。幼なじみで従兄弟で親友だから」
たぶん龍治さんは何気なく言ったセリフだったと思うけど、わたしはどうしても訊きたくなってしまった。
「そう、そう。夏樹は本当に従妹に甘いんだから……わあ!あの岩以前見たやつだよね」
ほたるは車窓から見える景色に歓声を上げ夢中になる。彼女の意識がそちらへ行った隙に、わたしは龍治さんに訊ねた。
「あの……龍治さん。つまらないことを訊いてもいいですか?」
「ん、なんだい?」
どうやら龍治さんは気楽に答えてくれそうだ。景色を見だしたほたるの様子を気にしながら、わたしは龍治さんに質問をぶつけた。
「あの……もしもですけど。龍太さんが女の子だったら……恋愛対象になったりします?」
かなり不躾だろうし、こんなにつまらなくて馬鹿らしい質問に答えてくれるかな、と気を揉みながらわたしが龍太さんの答えを待つと。
龍太さんは、「あ、そうなんだ」と納得顔になった。
「鞠ちゃん、夏樹くんに言い寄られでもした?」
龍太さんに声を潜めながら指摘され、わたしの胸はドキンと跳ね上がった。