赤い電車のあなたへ



龍治さんとはホテルで落ち合う約束をし、駅で別れた。


そしてほたるが待つ自販機のそばに駆け寄ると、ほたるはにっこり笑い、お腹をさすりながらわたしにこう言った。


「早くお昼ご飯にしようよ! もうお腹ペコペコだよ」


何を言われるか内心冷や汗をかいてたわたしは、拍子抜けして全身から力が抜ける。


「うん、そうだね。どこかいい場所でお弁当にしよっか」


幸い今日は風も強くない晴天だから、外で食べるのが楽しそう。


わたしとほたるは並んで三日湖のガイドマップを見上げた。
三日湖はダムに依存しない天然の湖で、大きさは最大8km。周りには起伏や変化に富んだ景観や自然があり、昔からちょっとした避暑地だった。


三日湖に遊びに来たのは初めてだけど、こんなにいろいろなスポットがあるなんて知らなかった。


千本あると言われる千本滝や、様々な天然石が生まれる洞窟。天然の魚を掴めるやな。釣りポイントもたくさんあり、負けず劣らず泳げる場所も点在してる。


天然記念物の動物や植物もたくさん見られ、観察できる場所や湖の中央にある1キロもない小さな島が興味深い。


「とりあえず、こっちに行こっか」


ほたるが指差したのは、ちょっとした丘陵地。駅からほど近い場所で、歩けば15分ほどで着くらしい。


とりあえず、わたし達はそちらへ向かった。



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