赤い電車のあなたへ



わたしはほたると駅で別れ、龍太さん探しを始めようと用意した。あらかじめ龍治さんに数枚の写真や手掛かりになりそうなものは一通り渡されてる。


その封筒から写真を取り出していると、風でパラッと写真が落ちてしまった。


「あ! いけない」


慌てて拾い集めて数えると、一枚だけ足りない。慌てて写真を手に探し始めたのだけど。


「あの、すいません。写真落としてないですか?」


ひとりの女性が親切にもわたしに写真を渡してくれた。


「あ、ありがとうございます!助かりました」


わたしは戻った写真をほっとした気分で受け取り、女性に何回も頭を下げた。


「いえ、いいのよ。それより」


女性はたぶん30代半ばくらい。明るめのブラウンの髪を短めに切ったショートカットにしてる。


「その人、もしかしたらうちのお店で働いた事もある緑川さんじゃないかしら?」


「え!?」


女性は意外な情報をわたしに提供してくれた。だから、わたしは簡単に事情を説明しておこうと話す。


「緑川さんは大学生で、1年前から行方不明になっているみたいなんです。わたしは協力して彼を探しています」


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