赤い電車のあなたへ


正解なんてない。


悩み迷うことはムダではなく、糧となること。


人の心がわかるから迷う。


そのままでいい。


今まで誰も言ってはくれなかった。わたしの迷いを肯定してくれるなんて、誰ひとりいないと思ってたのに。


わたしは自然と感謝の気持ちが湧き出して、神社の方に頭を下げていた。


「ありがとうございます。お陰ですこし楽になりました」


「いいえ、私は長く生きてきた経験をほんの少し生かしただけ。
何も大した事は出来ませんが……ただ、悩み迷うこと自体が幸せな事なのだとは申し上げておきます。
望みや夢と現状を比べるから悩み迷う。
それは望みや夢を抱けるからこそ出来ること。
どうか、ご自分の今の全てを恨まないでください」


神社の方は最後にそう仰って、わたしにひとつのお守りをプレゼントしてくれた。


馬姫神社の恋愛成就の赤いお守り。彼は彼なりにわたしを応援してくれたのかな?


「ありがとうございました。わたし、頑張ります」


お礼を言ってわたしは馬姫神社を後にする。


なんだか霧が晴れたように清々しい気持ちになれた。


「……って。そういえば」


肝心なことを忘れてると思ったら。龍太さんの事を訊き忘れてた~~っ!



< 199 / 314 >

この作品をシェア

pagetop