赤い電車のあなたへ
「鞠ちゃん、君はもしかしたら僕の知り合いと会ったことがあるかい?」
龍太さんに問われて、わたしは素直に頷いた。隠しても仕方ないから。
「はい。探している最中に知り合い、龍ヶ縁にいる緑川 龍太郎おじいちゃんと、あなたのいとこの龍治さんとお会いしました。
龍治さんや友達とあなたを探しにこの三日湖へ来たんです」
わたしが説明すると、龍太さんはフッと顔を和ませた。
「そうか……やっぱり龍治も来てるんだね。あいつとは従兄弟で幼なじみで唯一無二の親友だ。
僕の気持ちはたぶん理解しているだろうな……」
(え、龍太さんの気持ち?)
わたしはそれを聞いてて、なんだかドキッとした。
まさか……一緒にいたらしい女性のことだろうか?
龍治さんも知ってたらしい綺麗な女性。彼女の事を思うと胸がざわつく。それも、よくない方に。
もしかしたら今も一緒に住んでいたりするのかな?
わたしがドキドキしながら訊けないでいると、龍太さんはいきなり告白してくれた。
「良子は……幼なじみで友達で。龍治と3人よくバカやったりしたんだ……けど。いつしか僕は、良子をただの友達に思えなくなっていたんだ」