赤い電車のあなたへ
友達に思えなくなった……というならば、わたしに考えうる答えはひとつしかない。
嫌な予感が胸の底に溜まって気分が重くなる。
正直言えば、聞きたくはない。
でも、わたしは聞かなくちゃいけないんだ。
わたし自身の想いに……初めての恋に決着を着けるためにも。
わたしは最初にもう一度会えるだけでいいと、そんな想いで探し始めたじゃない。
それが、こんなにもお話をして触れ合えて。これ以上何を望むの?
彼の笑顔だって見られたし、何よりも龍太さんはわたしを覚えてると言ってくれた。
わたしの仕草で和んだって。
それだけで、いいじゃない。
五つも年上の龍太さんなら、わたしより恋愛していてもおかしくはない。
例の良子さんという女性と恋人同士でも、それは仕方ないとわたしは納得したはずで。それは他人のわたしに口出し出来ない領域なんだ。
わたしが龍太さんを好きでも、一方的で見込みがない片思いなんだって。ずっとずーっと前に解っていたでしょう?
ちょっとくらい優しくされて覚えてもらえたから、もしかしたらという都合のいい淡い期待なんかしちゃいけないんだ。