赤い電車のあなたへ
ただ感情のままに激昂する夏樹と、あくまでも冷静な龍太さん。
4歳もの差があれば対応が違ってきても不思議ではないけど、もともとの性格から違うせいか、それとも経験の違いか。
夏樹だって普段はめったに感情を昂ぶらせることはないけど、どうしてか最近わたしに関わる事にはうるさくなった気がする。
昨夜部屋であったこともそうだけど。
わたしはどうにかしてこの事態を収めなくちゃ、と必死に考えて口を開いた。
昨夜の態度から推測すると、夏樹が気に入らないのは、たぶん男性がわたしの近くにいるから。
自分がいない間に何かないか心配してるだけ?
話の流れから言ってまずはわたし自身の希望から伝えなきゃ。
「夏樹、わたしまだ帰りたくない。せっかくアルバイトを頑張って楽しみにしていた旅行なんだから。
勝手に帰ったらほたるや龍治さんに失礼だし、がっかりさせてしまうでしょう?
せっかく夏樹も来たんだから、一緒に遊んだりしようよ。ね?」
わたしは夏樹に一生懸命に話をしてみた。