赤い電車のあなたへ
「どうぞ皆さんも召し上がってください。そのつもりで作ってきましたので」
ほたるは積極的に龍太さんや龍治さんも誘ってくれる。
わたしから言い出すのは図々しいと思っていたから、ほたるの果敢な行動に拍手を送りたい気分だった。
「そう言われると悪い気はしないなあ。龍太もいいだろ。手作り弁当なんてめったに食えないぜ?
美樹なんてコンビニのおにぎりしか買ってこないし~俺は食いたい!」
龍治さんが悲惨な食糧事情を嘆いたからか、龍太さんは微苦笑してわたしたちを見た。
「もし良かったらご相伴にあずかるよ。親友も飢えてるみたいだし」
「は……はいっ! 喜んで!!」
わたしはお弁当が入ったカバンを持ち、ふわふわな気分で返事をした。
龍太さんがわたしのお弁当を食べてくれる! わたしの作ったものを。もう、夢見心地で完全に舞い上がってた。地に足が着いてない。
「……いたっ!」
とはいえ気分が緩んだからか、今まで感じなかった足首の痛みがぶり返してきた。