赤い電車のあなたへ
そんなわたしを、近くにいた龍太さんが支えてくれた。
「僕で良ければ掴まって。ケガを悪化させてはいけないから」
「あ、ありがとうございます」
龍太さんがわたしに触れてくれた、と感じただけで顔が熱い。ときめきが気持ちいい。
「あ~いいよな、みんな2人で。俺はひとりか……」
少し拗ねた龍治さんに、苦笑した龍太さんが提案した。
「別におまえを仲間外れにはしてないだろ?美樹が居ないからって浮気はするなよ」
「ま、そりゃあそうだけどな。美樹の雷は世界一怖いからなあ~。くわばらくわばら」
龍太さんがそんな軽口を叩くなんて意外だけど、わたしはそんな普段の彼にもときめく。
彼が龍治さんに向ける表情は、やっぱり微妙な違いがある。その顔を見られただけでもわたしは幸せになれた。
わたし達は旅館の人に断り、ロビーでお弁当を広げた。
わたしがおにぎり弁当、ほたるがサンドイッチバスケットを作ってて。龍太さんが一番に手にしたのはわたしが握ったおにぎりだったから、嬉しくて仕方ない。