赤い電車のあなたへ
「は?」
「え?」
龍太さんとわたしは同時に声を上げた。
たぶん、どちらも意味が理解出来なくてだと思う。
そんなわたし達を見た龍治さんは、浮ついた笑みを引っ込めてちょっと真面目な顔になる。
「別に変な意味で言ったんじゃないさ。龍太、鞠ちゃんはおまえをずっとずっと探し求めてくれてたんだぞ。それもアルバイトしてまで自力で。
そこまでしてもらえたなら、人情としてちゃんとそれに応えるべきだろ?
色事抜きにしても友達としてでもいいからさ、明日がムリならせめて今夜一緒に話でもしとけよ」
ああそういう意味なんだ、とわたしはあらぬ誤解をした自分を恥じた。
友達として……やっぱりそれが理想的なのかな。
龍太さんに好きな人がいると本人から直接聞いているし、彼がわたしを女の子として見ているとは思えない。
彼ならば女性なら誰でもいい、なんてことは決してなさそう。今までの言動からかなり情に厚く、一途で誠実な性格だってわかったし。
だから、彼なら安全で大丈夫だと思う。異性として意識されないのは少し悲しいけれど。
わたしは龍太さんの様子を気にしながら、どう答えるべきか迷う。
やっぱり夏樹が反対するだろうと思ったら。
「それじゃあ……あたしと夏樹が相部屋でもいいかなあ?」
ほたるが思いがけない大胆な発言をして驚いた。