赤い電車のあなたへ



わたしが……龍太さんのアパートに?


想像もしなかった彼の発言に、わたしは頭が真っ白になる。


「そ、そんなのダメに決まってるだろう! 仮にも男女が同じ部屋で。旅館の部屋ならまだしも」


当然ながら夏樹が猛反対をして、龍治さんがそれならとひとつ提案をした。


「ならさ、俺が龍太の部屋へ行く。そして龍太は鞠ちゃんと。そっちの君たちは2人で泊まればいい。
なあに、2人っきりって言っても男が紳士的に振る舞えば全て解決! だろ?」


イタズラっぽい笑顔で龍治さんが話を振ると、龍太さんは「ああ」と答えた。


「あれ? それとも夏樹くんは紳士的に振る舞う自信がない? それだけほたるちゃんが好き……」

「出来るに決まってるだろ! 獣じゃあるまいし」


夏樹は龍治さんの質問にムッとした顔で答える。


そして「じゃあ決まりだな」と、龍治さんは真顔に戻る。


「龍太、部屋のカギ貸してアパートの場所教えろよ。ついでにおまえが泊まるのに必要な荷物持ってくっからさ」


「ああ、悪いが頼む」


「どうせ俺も一週間は厄介になるつもりだったからちょうどイイや」とは龍治さんの言だった。



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